学校での集団接種と同調圧力についてカウンセラーができること

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高齢者から始まった新型コロナウイルスワクチン接種が、最近、各企業においても本格的に職域接種が始まりました。そして順番として今度は10代の子どもたちにワクチン接種が始まろうとしています。ファイザー製のワクチンの接種対象が16歳以上から12歳以上に引き下げになったことを受け、日本小児科医会は、この世代への接種に関する考え方を公表しました。

 

その中で、ワクチン接種後に出る痛みや発熱、倦怠感などの副反応について、高齢者と比べて若い人に多く発生することが説明されています。 また、この年代特有のものとして、接種に対する緊張や不安などから、息切れやをまい、失神などの反応が起きる可能性についても説明されており、接種前・接種時・接種後の各場面において、丁寧な対応が必要であると指摘しています。

 

そして、学校などでの集団接種の場合、誰かがめまいを起こしたのを見て、他の子どももめまいを起こすなど、「集団反応が起こりやすい年齢であること」を考慮すべきと説明されております。

 

次に、接種への同調圧力を生む恐れがあり、副反応に対応する医療従事者の確保が困難なことなどを理由に「現時点で推奨するものではない」とした指針を政府が近く発表する予定です。実施する場合でも、接種に伴う差別やいじめを避けるため、接種が強制とならないよう配慮を求める内容になっています。

 

そこで今回は、学校での集団接種と同調圧力についてカウンセラーとしてできることをご説明いたします。これを読めば、学校の先生や生徒という立場を超えて、ワクチン接種をする人としない人がお互いの思いや考え方を理解し、今まで通りの学校生活を送ることができる内容になっています。

目次

今回の政府の指針は画期的なものであることを理解する

ワクチン接種に関する方針という限られた分野ではありますが、これまで学校の同調圧力を問題視した文部科学省指針はありませんでした。これは実に画期的な内容で、文部科学省の本件に対する対応について極めて現場の思いを優先させた決断になっております。ワクチン接種を同調圧力の中で事実上、強制にしてしまえば、副反応などが集団反応として表れ、学校を巻き込んだ深刻な健康被害を生む可能性があるため、合理性がある決断であると言えます。

 

またワクチン接種が結果として、学校の同調圧力に繋がり不登校やいじめの要因にもなると考える学者もいます。ここを政府として、セーフティーネットを作ったことが今回の指針の最大のポイントになります。

カウンセラーとして指摘したいこと

大人の世界の考え方を子どもの世界に持ち込まない

ここでカウンセラーとして指摘したいのが、大人の世界で起こっていることがそのまま子どもの世界にも当てはまるとは限らないということです。大人の世界でも、各企業において職域接種が始まり、同調圧力や、事実上の接種強制が起こり得る今日、子どもへの接種については、より慎重にならなければいけないと感じております。

 

医療従事者からのご指摘の中には、「ワクチン接種の有無が職場全体に分かる形になっていて、接種を見送ることが困難である」といったものもありました。

 

学校でも、接種の有無に関する個人情報の管理についても注意していただきたいです。ワクチン接種については、「接種させることが正義」または「接種させないことが子どものため」という2つの考え方に、大人の間でも分かれているのが現状です。子どもは、大人の考えに大きく影響を受けやすいので、こうしたことがいじめなどに発展しないよう、十分気をつけるべきだと考えます。

保護者は子どもの思いを汲み取ること

ワクチン接種をする場合

ワクチン接種をしない場合

 

 

すべての子どもに共通すること

最後に、カウンセラーとしてできること

本件においては、特に保護者の方の対応がポイントになります。ワクチン接種をするしないに関わらず、事前に保護者が自分の子どもに丁寧な説明をすることがスタートになりますので、ここがちゃんとできているのか、ということをまずはカウンセラーとして確認することから始まります。

保護者が自分の子どもに丁寧な説明をしているケース

ワクチン接種をしている場合

接種後の子どもの体調管理はもちろん、精神面の管理をきちんとしてあげてください。子どもは保護者の影響を大きく受けますから、保護者の対応が適切にできているのかがとても重要です。

 

ワクチン接種をしたことで安心感を感じているのか、そしてワクチン接種をしていない子どもに対して差別的発言はしていないのか、いじめをしていないのか、ここも重要です。この点については学校の先生と連携をしながら進めていけばよろしいかと思います。

 

もし、体調の変化が起こった場合は冷静に対応することです。まず学校の先生に報告すること。もうひとつは、医療機関に診察を受診すること。その後は医療機関の指示のもと対応すれば大丈夫です。ワクチン接種をして精神的に不安定になっていたり、ワクチン接種をしていない子どもに対して差別的発言やいじめをしている場合は、学校の先生に報告することはもちろんのこと、同時にカウンセラーにサポートを依頼することをお勧めします。

 

まずは保護者のお話を伺って、それから子どものお話を伺い、両者のお話をもとに今後の対応をカウンセラーが提案します。ここでも傾聴が大きな役割を担いますので、カウンセラーに遠慮なく話していただくことが解決の近道になります。

ワクチン接種をしていない場合

ここで考えられるのが、ワクチン接種をしている子どもから差別的発言やいじめを受けているか、ということを保護者が確認することです。特に、そのようなことがなければ大丈夫ですが、今後の子どもの環境の変化などでまた状況が変わる可能性もありますので、随時気にしてあげてください。

 

もしワクチン接種をしている子どもから差別的発言やいじめをうけている場合は、学校の先生にその旨確認することです。事実が確認できたら、学校の先生に動いてもらうことです。これは学校の先生の責務ですので、強くお願いしてください。ただ、差別的発言やいじめが解決しても、子どもの心の傷は消えていない可能性もあります。そういう場合は、カウンセラーにサポートを依頼することをお勧めします。

 

この場合もワクチン接種をしている場合と同じくまずは保護者のお話を伺って、それから子どものお話を伺い、両者のお話をもとに今後の対応をカウンセラーが提案します。ここでも傾聴が大きな役割を担いますので、カウンセラーに遠慮なく話していただくことが解決の近道になります。

保護者が自分の子どもに丁寧な説明をしていないケース

ワクチン接種をしている場合

このケースが一番危険です。速やかに子どもの心身共に変化があるのか確認してあげてください。

 

特に異常が無い場合は、改めて丁寧な説明をして子どもを安心させてあげてください。うまく説明できない場合は、カウンセラーにサポートを依頼することをお勧めします。カウンセラーとしてお話を伺いながら、安心感を持って説明してもらうのが一番です。

 

かかりつけ医がいる場合は、その方にお願いしたほうがいいですが、かかりつけ医はそういう対応は原則しません。精神面でのサポートという観点からいきなりカウンセラーにお願いしたほうが効率的に対処できます。保護者としては絶対に慌てないで対応してください。

ワクチン接種をしていない場合

この場合は、とにかく速やかに保護者が子どもに丁寧な説明をすることです。説明をした後、子供にちゃんと理解できたかどうか確認してください。

 

それで、ワクチン接種をする場合は接種していただき、ワクチン接種をしない場合は、そのまま接種をしないで様子を見てあげてください。ここでのポイントは同調圧力に左右されないことです。みんな接種しているからということで接種するということになると、話は変わってきます。文部科学省も現時点で推奨するものではないと指針を決めていますので、この指針を原点にしてどうするべきかを考えればいいのです。

改めて、すべての子どもに共通すること

同じことになりますが、念のためもう一度お伝えいたします。思春期の子どもは接種への不安などで、息切れなどストレス反応が生じる可能性があります。学校集団接種で他の人が具合を悪くする様子を見て、連鎖的に体調を崩すリスクもありますので、接種するしないに関わらず、お互いの考え方を尊重しながら子どもの幸せを考え、保護者と先生が協力する関係性を築いていくことが大切です。

 

もしそれでも課題を感じる場合は、カウンセラーに速やかにサポートを依頼してください。

 

併せて、傾聴とは?の記事もご覧ください。

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