傾聴に必須である繰り返しが苦手な人はどうしたら良くなるのかについて

人の話を聴こうとする人や傾聴をしようとする人は、とにかく真面目な人が多いです。10月4日に総理大臣に就任された自民党の岸田文雄氏の特技は「人の話を良く聴くこと」と言われています。岸田文雄氏が自民党総裁そして内閣総理大臣に就任したのも、「人の話を良く聴く真面目な人」というところが自民党の議員のみなさんから支持されたと言っても過言ではないかと思います。それだけ人の話を聴くことは大変なことであり、また魅力的なことなのです。

 

ただ、真面目な人ほど傾聴で言うところの要約がうまくできなかったりすることも多いです。私が感じるところとしては、真面目な人ほど正確に覚えて、そしてフィードバックしようとしすぎて心が入らなかったり、言葉を正確に覚えようとしても、結局覚え切れずに抜けてしまい、焦ってしまうからではないかと思います。

 

そこで今回は、繰り返しが苦手な人はどうしたら良くなるのかということについてご説明いたします。これを読めば、繰り返しができるようになるコツはテクニカル的なことではなく、気持ちの持って行き方であるということが分かり、繰り返しに対する苦手意識を克服できるようになります。

そもそも、傾聴の繰り返しとは、何なのか？

繰り返しの間違った認識

傾聴の繰り返しとは事実関係を確認するのではなくて、あくまでもクライアントや話し手の「感覚」を確認するためのものです。でも、多くの真面目な人は感覚ではなく、事実関係を正確に返そうとします。また、事実関係をちゃんと理解しないと気持ちを理解できないと思い込んでいる人もいます。そもそも、ここが間違いです。事実関係を整理しようと試みる人の特徴として、会話を頭から全部覚えようとすることです。だから、話だけが長くなり、話のポイントが何なのか答えられないのです。

傾聴の繰り返しで大切なこと

それは、覚えた事実を網羅することではなくて、感じたことやキーワードを短く伝え返すことです。でも実際、傾聴をする上で、真面目な人ほど「感じましょう」と言われると「感じるを真面目に考え始めて」しまったりします。感じるとは自然な行為ですので、考えることではないです。考えないと分からないことは、元々感じてもいないということです。それではどうすればいいのかについてご説明いたします。

傾聴の繰り返しを身に付けるには？

頭から全て覚えようという意識を手放して、後ろの気持ちだけピンポイントで拾おうという意識にすることです。そしてピンポイントで拾ったワードを伝え返す練習をしてみるといいです。これは全てとは言えませんが、人は大切な気持ちは比較的後ろに持ってくることが多いのです。

大切な気持ちを後ろに持ってくる具体例

人は大切な気持ちは比較的後ろに持ってくることの例として、母親が高校生の息子について語る場面でご説明いたします。

 

母親「うちの息子はね、今高校生なんだけど、やりたいことがちゃんとあって、すごいなと思うんですよね。でも私はやりたいことって全然ないから、息子がうらやましくもあるし、息子がやりたいってことを応援してあげたいって思うんですよ。」

 

これを全体を上手にまとめようするとこんな感じになります。

 

聴き手「息子さんはやりたいことがたくさんおありなんですね。素晴らしいですね。それでお母様としてはそれを応援してあげたいのですね。」

 

事柄を中心としたまとめはこんな感じになります。ここから感じることは、まず話の全体が長い。そして、ポイントがない。「息子さんが素晴らしい」話にまとめてしまって「母親の私にはやりたいことがない」というマイナス（そしてポイントになる）の気持ちをスルーしています。気持ちを無視してしまったら傾聴になりません。

ポイントを絞ったらどんな風に短く返せるのか？

• 「そうなんですね。ご自身がやりたい事は無いからこそ応援してあげたいと思うのですね。」
• 「なるほど！うらやましくもあるし応援もしたいんですね。」

 

これがクライアントや話し手の気持ちです。ということで、ポイントは後半のほうによくあります。絶対ではありませんが、うまく気持ちのポイントを繰り返せない人は、前半の言葉はとりあえず手放して、後半に出てくる言葉を注意して聞いてみたら苦手意識が段々無くなって、自信を持って傾聴が出来ると思います。良かったらぜひ、やってみてください。

 

併せて、傾聴のスキルの１つである「繰り返し」は気持ちのワードを繰り返すことの記事をご覧ください。

 

そして、傾聴とは？の記事をご覧ください。