最近、「傾聴をするときにどこに意識を向けてますか？」との質問をいただきました。普通に考えたら話している人と聴いている自分しかいないので、話をしてる人のことを意識するのは分かるかと思います。ですが、意識するのはこれだけではありません。もちろんクライアント始めとした、いわゆる話をしている人には意識を向けますが、あと２人意識を向ける人がいます。
まず２人目はどこかというと、話を聴いている自分自身です。傾聴をするときに大事なのは相手と向かいあっている自分です。これは傾聴をするときの基本的な聴き方のスキルである、受容（的態度）・共感（的理解）・（自己）一致の「（自己）一致」の部分に当たります。話し手と自分の両方を意識しながら聴いています。そして同時に（自己）一致が出来ていないと、話し手の話もちゃんと聴くことはできません。クライアントや話し手に対して誠実であるためにはまず自分自身に対して誠実であるべきです。
それでは３人目はどこになるのでしょうか？今日はそんなお話についてご説明いたします。これを読めば、傾聴していてもなかなか深まらないとお悩みの傾聴カウンセラーや聴き手の方の話の聴き方が更に深まります。
目次
３人目に意識を向ける人とは？
それは、クライアントや話し手に対してにはなりますが、具体的にはクライアントや話し手の奥にいる「誰か」のことになります。クライアントや話し手はいろんな感情を表現しながら話をされます。傾聴カウンセラーとして感じることではありますが、私自身どうしてもクライアントや話し手が自分の意思だけで話しているように思えないのです。
あとは、特に傾聴の最初の段階では、クライアントや話し手は全て心を許して話している感じはせず、傾聴カウンセラーの私の反応を観察しながら徐々に話したいことを話すというか、私の出方を観察しながら大丈夫そうだと思ったら核心について話し始めるという印象を受けます。初めからいきなり信頼感を持って話をするのはできないとは思いますので、これは仕方ないことでもあります。
ただ、何というか、誰かがクライアントや話し手にそのように指令を出して話をさせているような感覚があります。ただ、いつも私は気に掛けていることがあります。それは、「一体何がクライアントや話し手にそのような話をさせているんだろう？」とクライアントや話し手の奥に誰かがいるのではないか？と感じるのです。考え過ぎかもしれませんが、今までの傾聴カウンセリングを振り返るとそのような感覚がほどんどあります。
クライアントや話し手の奥にいる人の正体
これはどういうことかと言いますと、クライアントや話し手が自分自身と内なる対話をしていたり、クライアントや話し手が自分自身を客観的に見てどうなのかを考えているプロセスであるということになります。クライアントや話し手がこのような状態になっていれば、傾聴過程では一番クライアントや話し手の化学反応が起きやすく、大切なゾーンに入っているとも言えます。
スピ系の話に聴こえるかもしれませんが、決してそういうことではなく、むしろここに傾聴カウンセラーや聴き手が意識を向ける必要があります。クライアントや話し手が自分自身と内なる対話をしているその相手は一体誰なのか。クライアントや話し手が自分自身を客観的に見たその相手は一体誰なのか。ここに傾聴カウンセラーが想いを馳せながら話を聴いていくのです。
この見えない相手はクライアントや話し手であることは間違いないのですが、そこをあえて別人格の人として捉えて話を聴いてみるとクライアントや話し手と対比して聴くことができます。ちょっと話が複雑に聞こえるかもしれませんが、ここが傾聴カウンセラーとしての醍醐味かもしれません。自分の意志ではないような、指令を受けているような、そんな感覚でクライアントや話し手はカウンセリングに臨んでいるのかもしれません。
クライアントや話し手はちょっと苦しい体験かもしれませんが、内なる対話をする中で、顕在意識と潜在意識を行ったり来たりしているのかもしれません。いずれにしても傾聴はここまで深くクライアントや話し手が自分自身と対話することを可能にします。これが可能になると、傾聴カウンセラーや聴き手は更に話の聴き方が深まります。
聴き方のまとめ
ということで、３人とは、１人目は目の前のクライアントや話し手、２人目は傾聴カウンセラーや聴き手（一致）、３人目はクライアントや話し手の奥にいる「誰か」の３人です。傾聴していてもなかなか深まらない場合は、まず１人目と２人目の人の話を聴いて、それから３人目の人の話を聴いてみてください。是非このような聴き方で聴いてみたらいかがでしょうか。
併せて、傾聴とは？の記事もご覧ください。
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