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病気を持つ方への傾聴カウンセリング
風邪や擦り傷など、時間が立てば自然と治るものに関しては、人は特に何も気にせず日々を過ごしますが、手術が必要となるような大きな病気の場合には、そうはいきません。「手術が怖い」「本当に手術で治るのか」といった不安がどうしても押し寄せてきてしまいます。
今回は、その悩みを抱いていた酒巻さんへの傾聴カウンセリングについて、書いていきます。
酒巻さんとの出会いと、抱いていた不安
そもそもの出会いは、酒巻さんからの連絡でした。「病気を患ってしまい、2週間後には手術があります。手術は安全で、ほぼ確実に治せるとは言われたのですが、どうしても不安がぬぐえず、また、その原因もはっきりとは説明がしにくいです。」といった内容でした。
現状不安に思っていることがある一方で、その原因が自分で分からない。実はそういう状態に陥ってしまう人は意外と多く、そういう時にこそ傾聴カウンセリングというのは役に立ちます。
第三者である私が傾聴することで、客観的に相手の状況や心情を捉えて、それをお伝えするのです。何はともあれ、まずは会ってお話を詳しく聴きたいと思い、メールを返したのちに日程を決めてお会いすることにしました。
酒巻さんへの傾聴カウンセリング
会った時のあいさつや他愛のない話はとても軽快で、優しい感じも出ていましたが、やはりいざ病気、そして手術のお話となると、表情にも不安の色が浮かんできていました。
“手術に対して不安な気持ちがあるが、何に不安を持っているのかが分からず、その分からないという気持ちがさらに不安を増幅させている”
酒巻さんのお話を傾聴させてもらっていると、第一にこのイメージが浮かびました。そしてその問題を解決するのに、傾聴カウンセリングはとても適しています。なので、より慎重に、ですが会話として不自然にならないように、傾聴を続けました。
しばらく傾聴をしていると、ぼんやりとしていた不安の正体が徐々にはっきりとしてきます。不安の対象は病気ではなく手術そのもので、手術は痛くないのか、手術は本当に何事もなく終わるのか、手術の後遺症は残らないのか。こういった疑念や恐怖心が、不安へと繋がっていって、そのひとつひとつがごちゃまぜになってしまった結果、不安の要素がはっきりしなくなり、余計に不安を生んでいたようでした。
傾聴カウンセリングでの解決とその後
不安の原因がはっきりしたのなら、あとはそれをひとつずつ、より傾聴をしていきます。こちらからアドバイスをしすぎる、ということは決してせず、あくまで酒巻さん自身の言葉で問題を解決できるように、きっかけとなる言葉を伝えるのが傾聴カウンセリングの特徴の一つです。
傾聴カウンセリングのあとは、不安な表情は消えて、むしろ不安としっかり向き合っていく姿勢を感じられました。私は、病気のことや手術のことはたしかにほとんど分かりません。それでも、相手のお話をしっかりと傾聴して、相手の悩みや不安を明確に見出すことができれば、傾聴カウンセリングは行うことができます。
後日、メールにて手術が無事終わったとの連絡を頂きました。手術自体に関与することはできませんが、そこへの気持ちをどう変化させるか、どう前向きにさせるかが、傾聴カウンセリングで大切なことだと、私は思います。
併せて体験その1「介護の場での傾聴カウンセリング」もご覧ください。
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