傾聴のスキルの1つである「繰り返し」は気持ちのワードを繰り返すこと

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傾聴には”繰り返し”というスキルがあります。クライアントの言葉を聴き取ってそのまま繰り返すということなのですが、「何を聴き取って、何を繰り返すのか?」がちゃんと理解していないとうまくできません。そこで今回は、傾聴で使うスキルである繰り返しが具体的に何を繰り返すのかをご説明いたします。これを読めば、繰り返しが今一つピンと来ない方に読んでもらえたらすぐに実践できるかと思います。

目次

繰り返しをする意味とは?

繰り返しはオウム返しだと思っている人がいるかもしれません。実際には違いますので、ここで繰り返しをする意味について2つご説明いたします。

ちゃんと聴いていることを伝える

あいづちより、より深く気持ちのレベルまで理解していることを伝えるのに有効な手段になります。

クライアントの在り方を客観的に伝え、内省を促す

そもそも人は自分がどんな言葉を使って話しているのかいちいち気にしていません。カウンセラーを通して、クライアントの発言をもう一度聞いて考えてもらうことで、内省を促すことに繋がります。

気持ちのワードを繰り返すとは?

他にもありますが、大きく言えばこの2つの意味がありますので、繰り返しはとても重要なスキルです。繰り返しをするときのポイントは「気持ちのワードを繰り返す」ということです。それでは簡単な例を用いて気持ちのワードとは何か説明いたします。

例から繰り返しを考えてみる

例えば、Aさんという人がいて、Aさんが次のように言ったとします。

 

「先日、やっと富士急ハイランドに行けたんです!」

 

傾聴の立場で考えたとき、こういう場合あなたはどんな言葉をかけてあげるべきでしょうか?

 

1.「富士急ハイランド混んでた?」と、状況を聞きたくなるでしょうか。

 

2.「新しいアトラクション乗った?」と、自分が気になることについて尋ねたくなるでしょうか。

 

3.「よかったね!」と、言ってあげたくなるでしょうか。

 

他にも考えられる問答はあるかと思いますが、この3つだけ見てもどれも会話としては自然で何の問題もありません。ですが、3つとも傾聴にはなっていません。なぜならば、そもそも傾聴とは相手の気持ちを理解することだからです。

 

その観点からもう一度見てみると、1は「富士急ハイランド混んでた?」という返答は状況の確認であって、相手の気持ちではありません。2は「新しいアトラクション乗った?」という返答は自分の知りたいことを聴いているだけなので、相手の気持ちではありません。3は唯一「よかったね!」だけが、Aさんが富士急ハイランドに行けた喜び、つまり気持ちに応答しているように感じますが、「よかったね!」が繰り返しかというと違います。「よかったね!」は、繰り返しではなく単なるあなたの感想です。

傾聴の”繰り返し”のポイント

よかったね!と相手に感じたときに、「よかったね!」と感想を伝えるのではなくて、「よかったなぁ~」とあなたに感じさせてくれた「言葉」があるはずなんです。その言葉を繰り返せばいいのです。

 

では、先ほどの例の「やっと富士急ハイランドに行けたんです!」の中で、「よかったなぁ~」と感じさせてくれた言葉はどれかというと「やっと、行けた!」という言葉からAさんがいままでずっと行きたかったけれど、行けなくて、長年の夢がやっと叶ったことが分かります。なので、その言葉を繰り返します。「やっと富士急ハイランドに行けたんです!」に対して、「やっと行けたんだね!」と繰り返しをすればいいのです。

 

気持ちというと一般的には、「うれしい、たのしい、悲しい」などの形容詞をイメージされると思います。ですが、傾聴でいう気持ちは形容詞だけではありません。今回の例の「やっと」のように形容詞ではない気持ちのワードというのがたくさんあります。「意味や価値を表す気持ちのワード」ということになります。意味や価値を含めて人は気持ちを理解してもらえた時に、人は気持ちを理解してもらえていると感じ、聴き手を信頼してくれるようになります。

 

反対に、気持ちではなく事実をいくら理解してもらっても、それがそのまま理解してもらえたという気持ちには繋がりません。

 

先ほどの例に戻りますが、「先日、やっと富士急ハイランドに行けたんです!」に対して、「富士急ハイランドに行ってきたんだ!」と事実に応答されるのと、「やっと行けたんだね!」と気持ちに応答されるのとではどちらの方が、理解してもらえたという感じがするでしょうか?

 

実際にどう感じるかは、人それぞれ違うので、すべての人が、後者の方がいいとは限りませんが、気持ちにフォーカスすれば、「やっと行けたんだね!」という返答の方が理解してもらえたという印象が強いです。感じ方自体は別に人それぞれ違っても構わないんですが、傾聴に関しては、気持ちを理解することになりますので、聴き手は話し手が発する気持ちのワードを探すように聴いてみるといいかと思います。これもトレーニングですので、少しずつやってみてください。

 

ということで、傾聴の繰り返しとは、話し手の気持ちを表す言葉に応答することであることを知っていただければと思います。

 

併せて、傾聴とは?の記事もご覧ください。

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