最近、夫婦関係、つまりパートナーシップについてのお悩みを伺うことが増えてきました。夫婦と言っても十人十色。様々な夫婦の形があります。特にお悩みと感じているのは女性の方が圧倒的に多い気がします。
今日は、夫婦間の対話を傾聴の観点から考えてみたいと思います。これを読めば夫婦関係でお悩みの方はもちろん、恋人や親子・兄弟関係、そして職場での人間関係にも活かせる内容になっていますので、参考にしていただければと思います。
目次
対話が苦手なパートナーに困っている
夫婦2人の関係で、女性は話すことが好きな方が多いですが、男性はどちらかと言うと苦手な方が多いようです。とにかく対話が苦手。何となく面倒くさいと思ってしまったり、嫌な空気を察してしまったり、不満を言われるんじゃないか、という先入観が男性には強いと思われます。もちろん、そうじゃない男性もいらっしゃいますが、そういう傾向が男性の方が強いということです。外では社交的に人付き合いをしていても、家ではそうでもなくて、奥様に対して、「言わなくても分かるだろ!」というスイッチが入ってしまうようです。それだけ男性は外で気を遣っている方が多いのかもしれません。
一方、女性は話すことが好きなので、旦那様に気軽に話をしようと言っても、旦那様は話し合おうとするとどこかへ出かけてしまったりして、話し合いができない状態だったりします。そして、やっとの思いで旦那様と話をすることができて、いろいろと聞いてみたら、「何を聞いても分からない。そんなこと考えた事もない。そんなこと言われても分からない。」という返事しか返って来ない。言ってみれば、話し合いとは程遠い状態です。もう分かり合えないのでは、と半ば諦めかけてしまう奥様もいます。
では、どうして対話が苦手なのでしょうか。それは、夫婦共に、自分が自分のことを分かっていないから、こういう現象が起こってしまうのです。
対話ができない背景
まず対話ができない背景として考えられることは、例えば、下記が挙げられます。
- 怒りなどのマイナスの感情が先に伝わっている。
- 本当は何を伝えたいのか明確になっていない状態で話し始めている。(詳しく言わなくても、何となく、分かるでしょ!っていう感じ)
- なぜ怒りや感情が振れるのか自分で確認できていない。
- 結局何が伝えたいのかお互い分かっていない。
- 相手を責めてしまって、相手も責められていると感じ、話し合いにならない。
- 問いを考えるのが面倒くさい。
思い当たる節があるのではないでしょうか。まずは一度、ご自身のことを振り返ってみてください。相手起因のことかと思われるかもしれませんが、実は、ご自身にも起因がある場合もあります。どうして分かってくれないのだろうか?という感情が怒りに変わって、それが相手に伝わっていたり、あとは、自分自身に厳しすぎてしまうので、相手に期待しすぎてしまって、お互い上手くかみ合わないということも考えられます。
対話をする前の事前準備
対話ができない背景がお分かりいただいたかと思いますので、今度は対話をする前にしておいた方がいい事前準備について考えてみたいと思います。事前準備として考えられることは、例えば、下記が挙げられます。
- 普段の会話から相手を受け入れる。
- 否定、アドバイスを普段からしていると安心感が生まれない。
- 普段の会話から何を話しても大丈夫という安心感を感じてもらう。
- 普段から自分が自分に本音で関わる。
- 自分は何に感情が動き、本当はどうしたかったのか?を明確にしてから話し合う。
- いきなり解決を求めない。
- 分からないと言われたら、分からないんだねと言って、一旦受け入れる。
これは実は、傾聴の姿勢そのものになります。対話はあくまでも対話であり、話し合いもあくまでも話し合いです。共に行う作業になりますので、話をしてもいいんだという安心感がまず必要になります。この安心感は普段からの生活の中で、相手を受け入れるということの積み重ねになります。そして、相手の話を聞くときは、傾聴での聴き方に切り替えます。普段から否定的な意見を言ってしまうと、相手の本音を聴くことができません。この本音を聴くことが重要で、そこで決して解決を求めなくていいということです。
男性は解決的思考で、女性は共感的思考です。なので、男性の場合は、解決を提示しないといけないから話し合いをしたくない、いきなり解決を求められても対応できないということであり、女性の場合は、そもそも解決ではなく、今の想いを分かって欲しいというだけだったりするので、ここに男女の捉え方の違いがあります。ここを理解しておくだけでも十分効果があります。ここを理解できれば自然と傾聴での聴き方で相手の話を聴くことができるので、焦ることなく、相手を受け入れることができます。
一番大事なのは、自分が自分に本音で関わること
相手に自分の意見を勢いでぶつけたくなるときは、普段から自分の感情を抑えがちかもなのかもしれません。そういう場合は、一度自分を振り返る必要があります。マイナスの感情が先に相手に伝わってしまうと、対話ができなくなり、安心感が無くなってしまうので、ここは注意すべき点になります。
傾聴では、聴き手の人間性とも言われる、受容(的態度)・共感的理解・(自己)一致が大事になりますが、特に大事なのは、(自己)一致になります。(自己)一致とは、相手ではなく、自分自身に誠実であることです。聴き手がありのままの自分であることが一番優先されることになりますので、今は聴ける心理状態でないときは、聴かなくてもいいのです。そういうときは、その旨、相手に伝えて納得してもらえばいいのです。そして、別途時間を設ければそれでいいのです。(自己)一致とは、普段から自分が自分に本音で関わることとも言い換えられます。自分が自分に本音で関われなければ、他人とも本音で関われないのです。
併せて、傾聴とは?という記事もご覧ください。
相手がやりたいことを受け入れる
夫婦関係を傾聴の観点から考えていくと、相手に問いを考えさせる習慣ができていきます。その中で、相手がやりたいことの提案があったら、まずは受け入れて、やらせてあげることです。やりたいことの提案とは、相手が自分を知って、表現し、伝えることができたということですので、相手の大事なことをちゃんと聴いてあげることです。そして、お互いがそれを大事にすることです。そうすれば、お互いがお互いの抑えどころが分かるので、良い関係性を構築することができます。良い関係性とは、ただの自由ではなくて、相手のことを大切に想い、責任感が伴う自由とも言えます。
相手のやりたいことを受け入れた後の変化
対話が苦手な人と傾聴を通して、こんな変化が生まれます。
- 自分と向き合う時間が増えた。
- こんな気づきがあったと教えてくれる。
- 今までなら、自分が言わなければいいし、我慢すればいいと自分を抑えていたが、最近は、お互いの納得を大事に前よりもどうしたいのか話してくれるようになった。
- お互いがお互いの想いを尊重できるようになり、信頼も深まり、応援し合えるようになった。
- 自ら、これをやってみたい!とどんどんチャレンジするようになった。
これは、とあるご夫婦の実話になります。ここまで変化していくと、相手の可能性を信じて任せられるようになるので、相手も自分もいつもありのままの状態で居ることができます。傾聴で人はここまで変化することができるんです。だから一人でも多くの人に傾聴の素晴らしさを伝えていきたいと思っています。
いつからでも自分を育てることは可能です
夫婦間で日々の少しずつの傾聴の積み重ねで人生は大きく変わります。お互い1日15分傾聴の時間を作ると、1週間で105分、1ヶ月で3,165分、1年で37,980分、3年で113,940分になります。1日15分でもこれだけ積み重なっていきます。塵と積もれば山となる世界です。1日1日を大切に積み重ねていきましょう!
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