河野太郎氏のTwitterブロック問題 傾聴から分かる意外な盲点とは?

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9月17日告示、29日投開票の自民党総裁選。今まさにメディアは総裁選一色といった感じで大変賑わっていますね。その後、解散総選挙も控えているので、選挙に勝てる候補がこの総裁選を制するといったところなのでしょうか。男女それぞれ2名ずつ、4名の候補が立候補、特に女性が複数立候補するのは初めてとのことです。立候補者は、河野太郎氏、岸田文雄氏、高市早苗氏、そして野田聖子氏ですが、今回4名ともそれぞれ独自の視点で政策を訴えていて、とても個性的な総裁選になっていると思います。

 

これだけ特色がはっきりしていると投票する人は投票しやすいのではないでしょうか。4名の候補にはそれぞれ頑張っていただき、投票する人もその後の解散総選挙のことのみに特化した投票だけはしていただきたくないと思います。

 

実は今回、総裁選の裏側のテーマとして私自身が特に注目しているのが、河野太郎氏のTwitterブロック問題です。公人がTwitterでブロックすることについて批判する意見もありますが、これについてはどう考えればよいのでしょうか。

 

河野氏は200万人のフォロワーを抱えており、政界ではトップクラスです。河野氏は批判的なコメントを寄せるアカウントについては、Twitterが備えているブロック機能を使って、自身の投稿を閲覧できないようにしています。これに対して、政治家が批判的な人の意見をブロックするのは良くないといった批判の声があることも事実です。そして今回、総裁選の出馬に関して、改めてブロック機能は使い続ける方針を示しました。

 

そこで今回は、河野太郎氏のTwitterブロック問題をどのように考えたらよいのか、傾聴から分かることとして意外な盲点についてご説明いたします。これを読めば、ブロックすることから生まれる盲点がこれほどもまでに恐ろしいことか、そしてその対処法について分かります。

目次

河野太郎氏のTwitterブロックはなぜ問題なのか?

一般論で言えば、Twitterは民間企業が提供するサービスのひとつに過ぎず、そもそも公的なものではありません。こうした民間企業のサービスにブロックという機能がある以上、利用者がそれを使うのは自由です。一億総SNS時代でもある現在、老若男女問わずたくさんの方々がSNSを自分の都合のいいように使っています。それは政治家も同じなのかもしれません。むしろ政治家だからこそ自分がどこの組織に所属していても、組織とは別に個人の見解として発信したいという想いは強いのかもしれません。

 

ですが、特に政治家の場合はあくまでも公人という立場が先にありますので、どうしても公式アカウントという要素が強くなります。もしブロックをするということであれば、Twitterを公式発表のツール、もしくはそれに近い形での使い方をしない、という前提条件付きであれば、誰をブロックしても構いませんが、実際そういうことは不可能です。発信を見る側は公人としての発信として見ますので、残念ながら私人としての発信は事実上不可能です。

 

もし私人として発信をしたければ、別アカウントで名前を変えてやればいいのですが、あえて本名で政治のツイートをしているというのは、政治的影響力をアピールしたいということなのです。まずここに根本的な問題があります。

 

次に、ブロックをすると相手からしたらツイートが見れないので、憲法で保障されている「国民の知る権利」を侵害しているということにもなります。もし、真剣に政策のことについて興味があって、例えば河野太郎氏の発言内容を深堀したかったしても、それ以前にツイート内容を知ることすら許してもらえないのです。知ることができる人と知ることができない人が同時に存在していることは不公平ではないでしょうか。

 

あと考えられるのが、ツイート内容に対して疑問があったり、反対であったりする場合に意見が言えないというのは、憲法で保障されている「言論の自由」を侵害していることにもなります。どういう手段であれ、言葉で仕事をするのが政治家ですから、当然反対をする人がいることは想定しているはずです。でもそれをブロックしてしまえば、自分の意に沿わない意見は聞かないと言っているのと同じことなのです。

 

もちろん過度な誹謗中傷・名誉毀損・脅迫等は論外ですが、公人がTwitterを公的言論空間としているならば、批判・反論の言論の自由は最大限確保されるべきです。批判や反論ならば甘んじて受け入れるべきです。

SNS時代における政治家の在り方とは?

基本的にはSNSがあろうがなかろうが、政治家の在り方というのは変わりはありません。カウンセラーの私が考える政治家とは、「自分の想いや考えを自分の言葉で説明すること」であると思います。まず、政治家が言葉を発さないと国民は話を聴くことすらできないのです。SNSを使っていない政治家は別ですが、SNSを使っているのであれば、SNS上でも同じである筈です。ところがブロックをしてしまうと、国民を選別していることになります。ブロックではなく自分と意見の違う人の意見に耳を傾け、相違については説明する義務が政治家にはあります。

 

最後は政治が決めるんです。ということは政治家には決定権があります。まして河野太郎氏は総理大臣になる可能性大です。みんなで決めて、河野太郎氏で決まりとなればそれはそれでいいのです。ただ、政治家としての在り方として考えたとき、これではいけないのです。先ほども申し上げましたが、自分と意見の違う人の意見に耳を傾け、相違については説明する義務があるのです。

 

意見の相違があるからこそ、理解してもらうために議論を通してコンセンサスを得ていく必要があります。確かに言論の自由はありますが、自由には責任が伴います。この責任とは、違う意見も尊重するということに他なりません。ブロックをするということは違う意見を尊重しないということです。これでは政治家としてどうかと思うのです。

ブロックをする意外な盲点とは?

政治家も国民も意見を言うことはできるし、意見を聴くこともできます。ところが国民には選挙以外に決定権が無いので、そう考えると国民は日々の政治家の意見を聴くことしかできないとも言えるのです。ここは重要なところでもありますが、盲点でもあります。国民は政治家の意見をちゃんと聴いているのです。聴いているからこそ批判も生まれるのです。ところが、多くの政治家はこの前提が無い又は忘れがちなので、行き着くところブロックをする行動を取ってしまいます。

 

本来、意見の相違がある場合、国民が納得するまで説明をし、理解を得るのが政治家の責任ですが、ブロックをするということは責任を放棄するということです。政治家は国民から負託されていることを忘れてしまい、自分は全ての決定権を持っていると勘違いをし、何でも許されると思い込んでいます。だから国民の声を聴くどころか、自分の手柄を自画自賛すらします。こうなると国民は政治家から気持ちが離れるのです。これは本当に恐ろしいことだと思います。

 

民主党政権時の鳩山由紀夫元総理が退任前に、「国民が聞く耳を持たなくなってしまった」という言葉を残しましたが、これは国民が聞く耳を持たなかったのではなく、政治家(この場合は鳩山由紀夫元総理)が聞く耳を持たなかったのです。河野太郎氏もこうなる可能性大です。ブロックをするという行為1つだけでこれだけお互いの関係性が崩れてしまうのです。もし河野太郎氏が総裁選に敗北した場合、「国民が聞く耳を持たなくなってしまった」と発言するか、それとも自らそういう心境を抱くのではないでしょうか。

傾聴から分かるこの問題の考え方と対処法について

今の河野太郎氏の状況を傾聴カウンセラーの立場からすると、「河野太郎氏(話し手)→国民(聴き手)」という関係が見えます。一方、岸田文雄氏の場合は、「岸田文雄氏(聴き手)←国民(話し手)」という関係が見えます。これはどっちが正しいということではありませんが、傾聴という視点からすると岸田文雄氏の方がより傾聴的と言えます。実はこの関係性の方が国民は決定権を委ねやすいのです。

 

岸田文雄氏の話を聴いていると、「聴く力」「対話」という言葉がたくさん出てきます。この安心感は、常に政治が私たちに寄り添ってくれるという世界観です。この4人の中で、明日の日本のリーダーは誰が一番ふさわしいのか、それは私には分からないですし、最終的には選挙で決まった方が一番ふさわしい人であると考えます。ただ、傾聴という視点から見ると、岸田文雄氏が一番適任であると考えます。

 

今回の総裁選は、菅義偉総理大臣がコロナを始め、あらゆる政治課題についての説明が足りないということが引き金となっていると思います。だから自分の言葉で説明することが求められているので、多弁な方がどうしても有利です。そういう意味では、河野太郎氏、高市早苗氏そして野田聖子氏は一歩先を進んでいます。ですが、国民は本当は説明をして欲しいという想い以前に、説明が足りないという不満を聴いて欲しかったのです。その不満を汲み取ったという意味では改めて岸田文雄氏が適任と言えます。

 

総裁選に限らないことですが、あなたが今いる環境でも同じことが言えると思います。一方的にブロックをすることで、あなたの話は聴かないと排除する人よりも、ちゃんとあなたの話を聴いてくれる人を大切にして欲しいと思っています。見極めるポイントは「聴く」と「対話」という言葉をたくさん使っている人、そしてそういう空気感が伝わってくる人です。

 

ブロック行為をする人(あなたを排除する人)を華麗にスルーして、あなたの話をきちんと聴いてくれる人に囲まれた環境に居て欲しいですし、それが叶ったら今度はあなたが周りの人の話を聴いてあげる番です。

 

併せて、傾聴とは?の記事もご覧ください。

 

 

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