傾聴とは聴き手が自分の中で落とし込むための間(ま)も必要になる

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クライアントや話し手にも色々なタイプの人がいます。傾聴において、クライアントや話し手の立場から見ると、どうしても「話す」という視点から考えるのは当然のことになります。ただ、この「話す」と言っても、色んな話し方があります。例えば、相手のことは考えずに、とにかく淀みなく話す人もいれば、周りの状況を見ながら話す人もいれば、そもそもあまり話さない人や話すことが苦手な人もいます。

 

「話す」という視点から考えると、「とにかく話す人」「とにかく話さない人」の2つに大別されますが、今回は、「とにかく話す人」に焦点を当ててご説明したいことがあります。それは、ノンストップで話す人に対しての傾聴の仕方についてです。傾聴をしてもらいたいと思っているわけですから、当然話したいことがあるのは分かります。ただ、聴く側からすると、正直話の内容を整理することが困難になります。

 

この様な場合は、お互いの関係を正しく理解しながら傾聴時間を作っていくことにはなりません。これはクライアントや話し手にとっても不幸なことです。お互いの立場を理解しながら傾聴をするにはどうすればいいのかについて考えていきます。これを読めば、傾聴をする人が話の長いクライアントや話し手に対しての対処法が分かります。

目次

話が長い人の特徴と対処法について

話が長い人の特徴とは?

これは2種類のケースがあります。1つは、自分の想いが淀みなく溢れて話が止まらない人で、もう1つは、専門家的な立場で終始ロジカルに話し出して止まらない人になります。どちらもノンストップ状態で話し出して、まるで一人演説をしているように見える点においては共通していると言えます。

 

前者は、話しているときは興奮状態になっているので、時間的感覚は無く、カウンセラーや聴き手に対しての最低限の配慮がないので、本当の意味での傾聴時間にはなっていません。そして、後者は、ロジカルに話すことが持ち味であるので、冷静な語り口ではありますが、自分の意見を披露することに重きをおいているので、自分のことなのにどこか他人事のようにすら感じてしまうことも多々あります。

 

ただ、どちらのケースにしても、話に終わりが見えないので、カウンセラーや聴き手からすると話の間が持てないため、自分の中で落とし込みながら聴くことはできません。聴く側の気持ちの整理が無視されている状態とも言えます。これはカウンセラーや聴き手とクライアントや話し手双方にとってとても不幸なことであります。

傾聴が上手くいったときに起こる事象とは?

私自身が傾聴を行ったときに上手くいった事象を振り返ると2つのことが挙げられます。1つは、話し方をゆっくりにすること、もう1は、話すトーンを低くすることになります。この2つを組み合わせることもありますし、別個に分けて対応することもあります。これは何を意味するのかと言うと、傾聴をする上での下地でもあるのですが、話し手の気持ちに合わせる、つまり「ペーシング」が出来ているということです。

 

ということは、ノンストップで話す人に対して、カウンセラーや聴き手がこのような状態を先に作ってしまうと効果絶大ということになります。例えば、あいづち、うなづき、繰り返しという非指示的療法で聴くときに、通常のペーシングよりも話し方を多少ゆっくりに、そして声のトーンを多少低めにすると言うことです。ここで注意して欲しいことは、クライアントや話し手のペースに巻き込まれることなく、カウンセラーや聴き手のペースに合わせてながら、お互いのペースを作っていくことです。

話の長い人への対処法とは?

自分の世界に入り込んでしまっているクライアントや話し手は、会話の流れの中で話し方や声のトーンに工夫を凝らしたペーシングしても、なかなか伝わらないような人もいます。そういう時は、あえて「一旦、止める」ことも必要になります。

 

これも注意が必要ですが、話を切り上げるということではなく、クライアントや話し手のことを受け入れているということが前提で止めなければなりません。今、クライアントや話し手が感じていることを、十分に受け止めたいので、ちょっとだけ待ってもらうというイメージです。大切なことは、クライアントや話し手の話をストップすることが目的ではなく、カウンセラーや聴き手が、話し続けざるを得ないクライアントや話し手の今の気持ちを自分の中に落とし込む必要であることをそのまま伝えることです。

 

傾聴をするということはただクライアントや話し手のペースに合わせることではありません。クライアントや話し手の想いや感情などを、カウンセラーや聴き手が話を聴きながら感じ取り、自分の中に落とし込んだ状態から相手に誠実に向きあうからこそ傾聴が成り立つのです。そのためにはカウンセラーや聴き手に必要な「間」(ま)を作ることも傾聴なのです。

 

併せて、傾聴とは?の記事もご覧ください。

 

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