傾聴の肝になる来談者中心療法について

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一般的にカウンセリングを含めた心理療法は、知識(理論)・体験(経験)・人格とコミュニケーションの技法が必要になります。これはどんな専門的な職業であっても、必要になりますが、傾聴は誰でもすぐに習得でき、活用できるものです。決して選ばれた人だけのものではありません。それでも実際は、カウンセリングという領域に入ってしまうため、どうしてもハードルが高くて身近に感じない方も多いのも事実です。

 

そこで今回は、傾聴の肝になる来談者中心療法について、知識(理論)・体験(経験)・人格とコミュニケーションの観点からご説明いたします。これを読めば、日常生活の中で、抵抗を感じる事無く、自然と傾聴を活用し、周りの人との信頼関係を築くことができます。

目次

来談者中心療法について

来談者中心療法とは、簡単に言うとウンセラーの人間性をよりどころとした、カウンセラーとクライアントとの信頼と理解に基づいてクライアントの自己変革を促進する療法です。こちらについては、傾聴力とは?の記事もご覧ください。

知識(理論)についての基本的な考え方

傾聴の第一人者であるカール・ロジャースは、傾聴において知識は不要と言う趣旨のことを唱えたように言われていますが、知識をよく吟味しないで一つひとつの現象を語ってはいけない、という意味で知識は不要と言っただけです。実際にカール・ロジャース自身は、人間や生物に対する知識や哲学、教育学、宗教学など膨大な知識を有していた人物です。

 

相手の心を理解するためには自分の心も理解しておく必要があります。そういう意味では、純粋無垢な精神そして人格もなく、そして知識もなければ、相手との関わりの中でそれが相手の心のことなのかそれとも自分の心のことなのかさえ分からなってしまいます。

 

純粋に知識を増やしたいのであれば、専門の書籍を10冊程度読めば知識は自然と身に付きます。例えば、最初は同じ著者の書籍を5冊読んで、その後に別の著者2~3人の書籍を5冊読めば偏りなく幅広く知識を習得できます。確かに知識は多いほど様々な事例の解決に役に立ちます。ただ、書籍で理解できたことと、目の前の人のことを理解できたこととは、必ずしも一致はしないことも多いです。まずは自分の直感と感覚を頼りに相手を理解することが重要です。しかし、知識がないところで理解は伴わないのも事実です。

 

知識が豊富にあって、それを意識的に自分の横において、自分の直感と感覚によってに相手を理解することが必要となってきます。知識か自分の直感・感覚か、悩むところではありますが、バランスを考えながら自分の直感と感覚に従ってみることが相手に安心感を持ってもらうことができるのです。

体験(経験)についての基本的な考え方

先ほども触れましたが、来談者中心療法はカウンセラーの人間性をよりどころとした、カウンセラーとクライアントとの信頼と理解に基づいてクライアントの自己変革を促進する療法です。まず来談者中心療法を学ぶ人は自分の心の在り様を体験によって学ぶことをお勧めします。

 

例えば、実際に、傾聴やカウンセリングについてのセミナーに参加して学びを深めたり、傾聴カウンセリングを体験してみたりすることです。傾聴やカウンセリングとは何なのかを理解した上で、傾聴カウンセリングを体験することで、傾聴してもらう相手の気持ちが理解できるようになります。そういう体験を積んでいくことで、自分の傾聴に対しての考え方や思いが定まり、自分の傾聴の型を見つけることができます。

 

傾聴は最終的にはカウンセラーの人間性に大きく左右されるものでもあるので、自分の心の在り様を理解し、深めていくことが大切になってきます。臆せずたくさん体験を積んでいって、日々自分の傾聴の型をフラッシュアップしていただければと思います。

人格とコミュニケーションについての基本的な考え方

カール・ロジャースは傾聴の技法については重視してはいませんでした。ただ一つ例外なのは、コミュニケーションの技術です。コミュニケーションを円滑にするためにはオープンさや人としての器の大きさが関係しますが、コミュニケーションは同じ人格の大きさであっても、伝え方の技術の差によって伝わり方も内容も大きく変わってしまいます。

 

コミュニケーションは話す技術と書く技術が中心になりますが、傾聴の場合は「聴く」技術が中心になります。聴くこととは、相手を理解することです。話す技術や書く技術は書籍などで技法が紹介されていますが、「聴く」技術についてはあまり一般的ではないのかもしれません。ということは、聴き方自体にはそんなに差はないのかもしれません。

 

来談者中心療法の技法とは「オウム返し」という認識を持っている人がいますが、正確に言いますとそれは違います。もちろんオウム返しも必要です。ですが、それだけではありません。来談者中心療法での聴き方は、非指示的療法と言われている「あいづち・うなずき・繰り返し」と聴き手の人間性であるところの「受容(的態度)・共感的理解・(自己)一致」になります。

傾聴とは来談者中心療法そのものです

来談者中心療法と言うとちょっと堅苦しくなってしまいますが、カウンセラーの人間性をよりどころとした、カウンセラーとクライアントとの信頼と理解に基づいてクライアントの自己変革を促進する療法です。そのために必要になるのが、非指示的療法と言われている「あいづち・うなずき・繰り返し」と聴き手の人間性であるところの「受容(的態度)・共感的理解・(自己)一致」です。傾聴は本当にこれだけです。

 

日々の生活の中で、この6個のうちまずはどれでもいいので、1つ意識して人の話を聴いてみることから始めてみるとよろしいかと思います。傾聴は課題の解決を目的にしていません。課題を顕在化するだけです。課題の解決を求めていないので、まずはあまり責任を感じずに人の話を聴いてみてはいかがでしょうか。徹底的に人の話を聴くことで、きっと人間関係が円滑になっていきます。

 

併せて、傾聴とは?の記事もご覧ください。

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