社内の同調圧力に関するお悩みを傾聴カウンセリングではどう対処したか

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最近よく聞く「同調圧力」という言葉。今年のトレンドワードかもしれませんね。これは新型コロナウイルス感染防止の一環として今年から政府が推進しているワクチンが始まりです。ワクチンというものがクローズアップされて、新型コロナウイルスに対して国民一人ひとりがどうすべきかを考えるきっかけともなりました。そこで壁にぶち当たったのが、「同調圧力」というとても大きな壁です。

 

確かにワクチンを発端に同調圧力について考える機会に恵まれた方が多いと思いますが、元々日本社会は同調圧力の社会とも言ってもいい社会です。今更始まったことではありません。でもこれが事態をとても深刻にしている面があります。そこで今日ご紹介するクライアントさんですが、社内でとある同調圧力に悩まされている30代の会社員の男性のお話をご紹介します。

 

これを読めば、会社員の方だけではなく、同調圧力に対してどのように対処すれば関わる全ての人に角が立たずに済ませるのかが分かります。

目次

管理職としての立場と私人としての立場の両立は難しいのが現実

今日ご紹介するのは35歳会社員男性の森川さん(仮称)という方です。森川さんとの出会いは、3年ちょっと前、知人のご紹介で一度お会いしました。そのときは、婚約をした直後で、結婚後の生活についてご相談を受けていました。森川さんとはその後特にお会いすることはなかったのですが、先日ご連絡をいただきお会いしました。結婚生活は順調で、会社でも管理職に昇進をされていて、公私ともに順調な感じでした。

 

ところが、あることが原因で、状況が厳しく変化いたしました。

会社から言われたワクチン接種推進のお願い

森川さんは営業部の課長さんで、外回りが基本のルートセールス型の営業です。コロナ禍でも基本的に取引先は固定ですので、大きな売上の変化はないのですが、取引先への訪問をコロナ禍以前の3割減の活動を余儀なくされていました。これを通常の営業活動に戻すべく、会社からワクチン接種の要請がありました。元々、森川さんは持病があるので、今回は未接種の予定でしたが、部員にワクチン接種を推進する上で、自分が未接種だと推進しにくいというご相談でした。

 

実際、部員からはワクチンを打たない森川さんからは言われたくないという声が公然と上がり、立場が悪くなっているそうです。そんな状況で、私のところに連絡をいただき、お話を伺いました。

これが同調圧力の怖さ

部員は森川さんの持病については理解しているのですが、取引先の安全を考えたら理解しにくいところもあって、部員も困っているそうです。実際は取引先からはワクチンを接種するのかしないのかは聞かれたりはしないのですが、もし商談中に感染させてしまったら責任が取れないということが部員の心に重くのしかかり、結局はワクチンを打たない森川さんからはワクチン接種をお願いされたくないという雰囲気に変わっていったそうです。

 

初めは理解をしていた部員が、結果理解できないという反対側の流れになってしまうこと。これが同調圧力の怖さです。これは部員のみなさんが悪いわけではありません。関係者一同、懸命に考えた末の結果でしかありません。ただ、当事者の森川さんにしてみたら、精神的ダメージが大きいことは言うまでもありません。

傾聴カウンセリングでどう対処したのか?

森川さんはマネージャーと言っても、今では当たり前になっているプレイングマネージャーと言ったほうが正確かもしれません。自分が売上を引っ張っていくことに対しては問題ないんですが、部員の事を考えると今はちょっとその役割をやるべきではないのでは?との想いを伺うことができました。そして自分が一線を離れれば、取引先にも迷惑が掛からないので、そういう意味でも自分が下りるというのは理にかなっているのではないか、ともおっしゃっていました。

 

確かに理屈ではそうですが、そうすれば完全に森川さんに非があるということにもなってしまいます。私はそれでも構わないのかを確認しました。そうすると、黙ってしまいました。傾聴中は別にクライアントが黙ってしまっても問題はありません。というかむしろここにクライアントの本音が隠されています。

 

しばらくすると、森川さんは「無念です」と言われました。きっと、もうどうすることも出来なかったのでしょう。ただ、私はここにひとつの本音が分かりました。森川さんは、きっと今まで通り仕事がしたいんだなと私には伝わってきました。ここで、私からその旨質問をしました。そうしたら、やはり今まで通り仕事がしたい、という反応がありました。

 

であれば、その旨、上司にご相談するべきであるとお伝えしました。今まで私に話していただいたことを洗いざらいお話をしてくださいとお願いしました。しかし、ただ話せばいいということではありません。森川さんは管理職という立場ですから、当然落としどころの提案をする必要があります。そこでまた傾聴に戻り、お話を伺いました。

 

そうしたら、部員がこれからも変わらずに営業活動を精一杯して欲しいということと取引先の身の安全を確保したいとのことを強く望まれていました。それであれば、プレイングマネージャーという立場ではなく、マネージャーという立場に軸足を移すことで対応可能ではないか、と思いましてその旨お伝えしました。ここで傾聴を終えました。要した時間は途中休憩を挟み、およそ90分程度でした。

森川さんのその後はどうなったか?

傾聴が終わってから10日ほど経って、ご連絡をいただきました。お話の内容は、次の通りです。

 

森川さんはコロナが終息するまでの間、営業の現場からは離れ、部員の営業管理に専念する。この間、部員の営業活動の中でクレームが発生した場合のみ、取引先に同行し、部員のサポートをする。ワクチン接種の推進は営業管理の立場で森川さんが行うが、上司がサポートをする。ワクチン接種については、ワクチン自体は決して否定はしないが、最終的には個々人の判断とする。但し、ワクチン接種をしない場合は、PCR検査の積極的実施を含めて、感染予防を今以上に徹底する。

 

という内容で決着したそうです。今回はかなり穏健的に決着しましたが、このケースはかなり稀なケースかもしれません。あくまでも会社には会社の立場があります。それでも今回は、森川さんがプレイングマネージャーという立場ではなく、マネージャーという立場に軸足を移すということが決め手になったそうです。

 

「こういうご時世だからこそ、みんながみんなの立場を理解し、受け入れる。周りの人は決して敵ではありません。コロナというものが発生したことで、気が付けたのかもしれません。」そのようにおっしゃっていた森川さんの明るい声が大変印象的でした。傾聴カウンセリングでここまで対処できたことに私自身も嬉しさが隠しきれませんでした。

 

併せて、傾聴とは?の記事もご覧ください。

 

 

 

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