前回の記事でも触れましたが、傾聴の知識やスキルが身に付いていてもなかなか使いこなせないのは、身に付いている部分はまずはちゃんと自分が受け入れ、認めてあげないといけないというご説明をしました。ここがクリアできると少しづつ自信が持てるようになり、傾聴のスキルを使いこなせるようになっていきます。何事にも最後はマインドの問題にはなってしまいますが、最初はどうしてもハードルが高くなってしまうのは致し方なことではあります。
ということで今回は、自信が持てなくても身に付けた傾聴のスキルを使いやすくするためにどのようなトレーニングをすると効果的か、そのたった1つのトレーニング方法についてご説明いたします。これを読めば、トレーニングの視点を変えることで、自信を持って傾聴のスキルを簡単に使いこなすことができます。
目次
傾聴のスキルは最終的にどこに辿り着くのか?
傾聴にはいくつかのスキルのトレーニングが必要になってきます。傾聴のスキルとして有名なのは、あいづち、繰り返し、伝え返しの3つが基本になります。他には質問というスキルもありますので、慣れてきたらこちらも身に付けていただきたいです。全部でこの4つのスキルがありますが、これらのスキルの関連性がよく分かっていないと自分が何やってるのかが分からなくなってしまいます。この状態は避けていただきたいです。なぜなら、これらのスキルの関連性が分かっていないから、自信が持てなくなり、動けなくなるのです。
そこで、傾聴のスキルが最終的にどこに辿り着くのかを押さえておく必要があります。傾聴の全てのスキルは「伝え返し」に辿り着きます。「伝え返し」というスキルをもう一度振り返ってみてください。もし初めて聞く方はこちらの記事をお読みください。ちなみに伝え返しに似たスキルに「繰り返し」があります。「繰り返し」と「伝え返し」は似ている部分もありますし、違う部分もあります。
トレーニング方法から考える「繰り返し」と「伝え返し」について
繰り返しはクライアントや話し手が発した「気持ちをのワード(単語)」をそのまま繰り返すスキルです。会話の流れの中で行うのが繰り返しです。それに対して、伝え返しは「受け止めの確認」と言い換えたら分かりやすいかと思います。クライアントや話し手が感じている「感覚的な事実」について、カウンセラーや聴き手が受け止めた「感覚」がクライアントや話し手の感覚と近いかどうか確認をします。ここをより具体的に分解してご説明すると次のようになります。
「私は今あなたは〇〇のように感じていると、私は感じたのですが
ということになります。カウンセラーや聴き手が感じ取ったクライアントや話し手の感覚について確認するのがポイントになります。
そもそも、「繰り返し」と「伝え返し」を分けて考えることもないのかもしれませんが、傾聴のスキルを積極的に活用するためのトレーニングとして考えた場合、「繰り返し」と「伝え返し」を分けて考えていただいたほうがトレーニングがしやすいという利点があります。その利点とは、短い気持ちを表す単語を聴き取る場合、「繰り返し」のトレーニングで十分可能ということです。
本来の「伝え返し」は、気持ちのワード(単語)も使いながら長い文章のようになったりします。実際の傾聴の研修に参加された方を拝見していますと、まずは短い気持ちのワード(単語)を理解してから文章を組み立てたほうがやりやすいと思い、「伝え返し」のトレーニングは後でやることをお勧めしています。傾聴のスキルを使いやすくするためにはこのように一つひとつ分解してトレーニングをしたほうが自信を持って傾聴ができるようになります。
トレーニングの視点を変えてみる
傾聴のスキルはあいづち、繰り返し、伝え返しの3つが基本で、質問を入れたら4つあります。あいづち、繰り返し、質問は伝え返しがちゃんとできるようになるための下準備であり、土台だと捉えてください。あいづちがちゃんとできれば傾聴である、傾聴は繰り返しをしておけばそれでいい、気持ちを深堀できるような質問をする、ということではなく、「伝え返し」の質が上がると傾聴の質が上がると考えてみてください。傾聴のスキルを使いやすくするために日々のトレーニングの拘りポイントは、「伝え返し」になります。
傾聴のトレーニングは、トレーニングをすることが目的ではなく、傾聴ができるようになることが目的です。「伝え返し」をぜひ、試してみてください。
併せて、身に付けた傾聴のスキルを使いこなせる人と使いこなせない人の違いとは?の記事と、傾聴に必要な3つの基本スキルについての記事もご覧ください。
そして、傾聴とは?の記事と、傾聴力とは?の記事もご覧ください。
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