「話を聴くときには何も言わないで黙って聴いていることが大切である。」傾聴ってそういうイメージを持って理解している方も多いと思います。確かにしっかり傾聴しているときは黙っているように見えるんだとは思います。ですが、実際はちょっと違います。傾聴もコミュニケーションスキルの1つです。傾聴カウンセラーも必要に応じて、言葉を投げかけてクライアントの反応を見たり、クライアントの想いを確認したりします。
今回は黙って聴くことが傾聴の全てではないですよ、ということについてご説明いたします。これを読めば、ちゃんと聴けている自信が持てない方、黙って聴くことに苦しく感じてしまう方、そして傾聴は受けてみたいとは思うけど、カウンセラーはただ聴くだけで何も発しないのではないかと不安を感じている方が、傾聴はお互いのコミュニケーションで成り立っているので、楽な気持ちで臨むことができるようになります。
目次
黙って聴いていることが傾聴ということではない
カウンセラーがクライアントの話を一生懸命聴こうとしている結果として、黙って聴いていると見えるだけということです。
「黙る」というのは、「口を開かない、口を空けない」ということです。確かに口を開けないことは、クライアントにしてみたら自由に話せるということになるとは思います。ただ、ここで1つ気を付けていただきたいのは、クライアントが自由に話せることと、傾聴カウンセラーが聴いてちゃんと理解していることに相関関係はないということです。あくまでも傾聴は、クライアントの気持ちを理解することでクライアントを理解しようという聴き方になりますので、傾聴は、「黙っていること」と思っている時点で間違っていることになります。
ということは、「クライアントの気持ちを理解するために何をするのか?」それが傾聴で聴く話の中身になってきます。それでは、黙っていれば傾聴になると誤解しないようにするために、傾聴をするときの主なポイントを簡単に3つご紹介いたします。
目的がはっきりしていること
傾聴の目的は黙っていることではなく、クライアントが言いたいことを理解しようとすることなんだということ知っていることです。
課題が定まっていること
目的がはっきりした上で、クライアントの言いたいことを理解するとは何をすることなのか?傾聴の場合は、クライアントが言いたいことを理解することがクライアントの気持ちを理解することをになるので、気持ちを理解することが課題として自ずと定まってきます。
行動が明らかであること
これは、クライアントの気持ちを理解するために何をするかという具体的な行動のことになります。例えば、次のようなことになります。
カウンセラーが、
- クライアントが二人で対話するために、あいづちというスキル
- より深く理解していることを伝えるために、くり返しのスキル
- まだ表現されていない気持ちを深めるために、質問のスキル
を使います。
3つのポイントから言えること
この3つのポイントの流れで言うと、傾聴しているときに黙って見えるのは、気持ちを理解するという課題を達成していくためにはまず関係性をしっかり作らなければいけないので、余計な言葉を言わずにあいづちという行動を取っていて、その様子を外から見ると「黙っている」ように確かに見えます。ですが、カウンセラーが聴いている最中は、心の中は「黙ろう」ではくて「理解しよう」になっています。
だから、傾聴は見かけだけ真似しても何の意味もなく、目的、課題、行動を理解した上でやることが大切になります。目的、課題、行動をちゃんと理解できると、クライアントを理解するためにやるべきことがはっきりします。もちろん練習は必要にはなりますが、意味のない努力から意味ある努力へと、努力の中身も変わるので成長を感じることができるし、聴くこと自体が楽になってきます。よかったら是非試してみてください。
併せて、傾聴とは?の記事もご覧ください。
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