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孤独と傾聴カウンセリング
今回紹介する方は、本山さんという30代の男性だったのですが、今までとはまた角度の違った相談内容でした。30代というと、肉体的にも精神的にもしっかりと成長しているといっていい年齢です。
実際、本山さんはこちらとの会話の際も自分の意見をハキハキと答えていて、その一方で物腰が柔らかく、誠実な方です。では、そんな本山さんがいったいどんなことに悩んでいたのでしょうか。
リモートワークという孤独
本山さんの職業はシステムエンジニアで、私も詳しくは無いのですが、仕事のほとんどをパソコンで済ませる職業のようです。
そのため、会社に行っても元々画面と向き合って一人で作業を行うことが多かったようですが、そこから環境の変化がありました。コロナによる働き方の変化です。
各会社に働き方の変更があったり、外出の自粛があった関係で、本山さんは自宅で作業をすることになりました。数少ない顔を合わせて行う打ち合わせももちろんリモートでするようになったため、ただでさえ一人で作業をしていた本山さんにとっては、いよいよ人と接する機会が無くなってしまいます。
最初の頃はそれでもなんともなかったようですが、次第にそれが孤独感へと変わっていったそうです。
孤独を自分自身では対処しきれなくなってしまった
人と面と向かって会話することも無く、そもそも周りに人がいない。これによって溜まってしまう孤独感を解消するために、レンタルルームを借りたりカフェで作業をしたりと解消策を見つけようとしたのですが、どうしても孤独になる気持ちをぬぐうことはできなかったそうです。
考えてみれば、その日に嬉しいことがあったり悲しいことがあったりした時、誰かにその話をして気持ちを共有したいものです。それができないとなると、どこか寂しさや切なさがありますし、孤独を感じでしまうのは当然の流れなのかもしれません。
そして最終的に、その解決のために白羽の矢が立ったのが、私でした。
傾聴をすることで孤独を解消する
つまりどういうことかというと、今回本山さんは、私に何か特別な事情を相談したいとかではなく、どんなことでもいいから話をしたい、話を聴いて欲しい、ということでした。
日頃誰かに話したくても話し相手がいない、話し相手を探そうにも誰でもいいわけではない。それならしっかりと話を聴いてくれる、傾聴してくれる人に任せてみようと思い、私に連絡を下さったのだそうです。
たしかに傾聴というのは、答えを導き出すというよりももっと聴くことに特化していますから、そういう面では私は適任なのかもしれません。そこからは仕事中に起こったこと、近所に買い物に行くときに起こったこと、ネットで見た出来事など、とにかく本山さんが話したいことを話してもらい、私はそれをじっくりと傾聴していました。
孤独というのは、時に人の感情を押しつぶしてしまうものです。落ち込んでしまうといった単純なものから、生きる意味を失わせてしまうものまで、孤独とは大小様々なものがあります。
今回の本山さんのケースはコロナによる弊害で生まれてしまった孤独感です。そしてこれは本山さんに限らず日本中で起こっているはずです。
人は悩んでいることに対して解決策を見つけることで安心を得られることがほとんどなのですが、それを見つけることが非常に難しい今回の場合では、答えを見つけなくてもいい「傾聴」によって安心感を持っていただくことができます。
「傾聴」がもたらすプラスな面を、今回は今の時代に合わせて発揮することができたのではないかと思います。
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