最近、傾聴スキルの習得が目的のセミナーに私が講師のアシスタントとして参加したんですが、このセミナーに佐藤さん(仮称)という方がいらっしゃいました。佐藤さんは元々傾聴に興味があり、何回かこのようなセミナーに参加されたことがあるそうです。休憩中にもお話をする機会があり、やはり傾聴のことはよくご存じでいらっしゃいました。ただ、それでも傾聴は難しいとおっしゃっていました。それでセミナーに参加して理解を深めたいとのことでした。セミナーでは傾聴のロールプレイの時間もありましたが、とてもよく出来ておられました。
ところが、佐藤さんご本人はそのような自覚がありません。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。そこで今回は、身に付けた傾聴のスキルを使いこなせる人と使いこなせない人の違いについてご説明いたします。これを読めば、傾聴をする上で何が一番大切かが分かり、傾聴をすることに抵抗感がなく取り組めるようになります。
目次
スキルが身に付いている人とそうでない人の違い
傾聴を学んでいる人のよくある光景
これはおそらく傾聴に限らず、何をする上においても当てはまることだと思います。ただ、傾聴となると、意識的にハードルを上げてしまって、「人の話を聴くのは、難しくてできない」ということに陥りやすい傾向があります。これからご説明する内容は、傾聴に限らずあらゆる上で当てはまるので、ご自身の本質的な事に繋がることにもなります。ご自身のことを振り返り、今後の飛躍の参考にしていただきたいです。
概して、スキルとは技術そのものになりますので、練習を繰り返すことで習得していくということになります。しかし、スキルを習得している人が必ずしもスキルを使える人とは限りません。いくらスキルが身に付いていても、身に付いているという自覚がなければ、そのスキルを使うことができないのです。今回の佐藤さんの例になりますが、傾聴のロールプレイのときに相手の人の話を聴いて、相手の気持ちを繰り返すということをやりました。
とても自然で、上手にできていたので、「とても良く出来ていますよ!」とそのまま伝えました。ところが、佐藤さんご本人は「いえいえ、だめなんです!」「出来てないんですよ!」と否定して受け取ってくれないのです。初めは謙遜をされているのかとも思いましたが、決してそうではなく出来ているという自覚がないのです。佐藤さんは出来ている状態と出来ていない状態の線引きをしてしまっていると思い、そこのところを質問してみました。
ところが、出来ていないの一点張りで、どうして出来ていないのかということもお分かりいただいていないようでした。要するに、無意識的に出来ていないという情報を脳に送ってしまっているのです。出来ていないのであれば、どこが出来ていないのか、どこがダメなのか、ということが明確に分かっていれば、そこのところの改善策について考えることができるのですが、出来ていないと思い込んでいる状態であれば、どうすることもできないのです。
せっかく出来ているのに自分がそれを認めなければスキルとして使うことはできません。ですが、実際のところこのようなことはよくあることなのです。特に傾聴については、あまり積極的にやっている方も少ないので、特別感が強い傾向があります。ということは、傾聴の最適解が認識されていないので、具体的に何が正解か分からないため、自信が持てないということが多いという印象はあります。
スキルが身に付いていると判断できる2つの条件
これは大きく2つあります。1つは、練習を重ねてそれができる能力が備わっていること。そしてもう1つは、自分にスキルが身に付いているという自覚があること。この2つになります。この2つが揃っていないと思うようにスキルは使えません。この2つの条件の土台になっているのが、自信を持っているということになります。過度な自信は良くないですが、ある程度の自信がないと相手に不安を与えてしまうので良くないです。
いずれにしましても、傾聴に限らないことですが、この2つの条件を満たしていれば、自分の思うような傾聴ができるようになっていきます。出来ていないところばかりに焦点をあてないで、出来ていることを認められる人が段々と自信を持つことができますし、身に付いたスキルを使いこなすことができるようになります。まずは、ちゃんと自分を受け入れ、認めてあげることが傾聴上手の近道になります。
併せて、傾聴とは?の記事もご覧ください。
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